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学会誌

超心理学の研究 第5巻2号

ESP機能に対する外的刺激の効果*
   大谷宗司、栗原広子(鹿児島国際大学 国際文化学部)

 

要旨

サイ(psi)過程の時間的変化の例は位置効果に見ることができる。これは、テストの開始・終結、また記録欄の初頭および終末という環境条件の変化に対するサイ機能の反応である。また、テスト時の物理的環境条件によって得点は差異を示す。例えば騒音の有無による得点の差異である。
 本研究は、ESP実験で被験者がゲス(guess)を続けている最中、外部より短期の刺激を与えたとき、ESP得点が如何に時間的に推移するかを観察しようとしたものである。被験者は記録用紙の直下にかくされているESP図柄を一定の時間間隔(2秒)でゲスしコールする。その途中、予期しない時期に音刺激を短時間(2秒)与え、その前後でのESP得点の変化を調べる。 本研究は慣熟実験、探索実験及び本実験に分かれる。探索実験においては、刺激提示直後、短期間のESP得点の低下、続いて上昇、そして偶然レベルへの復帰が観察された。本実験においては、その快・不快値を測定された4種の音を用い、さらに実験中、呼吸及び皮膚電気抵抗の連続的測定を行った。
 本実験においては探索実験で得られた刺激提示後のESP機能の抑制・促進の推移は見られなかった。しかし、音刺激が与えられた試行及びそれに続く4試行での得点は他の位置の試行より高い傾向が見られ、この促進効果は快と判断された125Hzの音の場合顕著であった。これは、被験者が探索実験において実験自体に慣れを来し、本実験においては異なった態度を生じ、これがESP反応の方向に影響したのではないかと考えられる。しかし、両実験の結果は、ESP機能は外部から短期の刺激が与えられたばあい、刺激直後に変化(抑制或いは促進)し、その影響は速やかに消失することを示している。 サイ実験においては、サイ刺激の受容の瞬間の状況を知ることが困難である。本実験でみられた外的刺激に対する速やかなESP機能の変化はサイ刺激受容の過程の研究に何らかの示唆を与えるものと考える。

キーワード: サイ過程、位置効果、音刺激、短時間刺激、生理的測定、馴れ

*本論文は、既発表の以下の論文の転載である。若干の語について英→和の変換を行った。
大谷宗司・栗原広子(1977). ESP機能に対する外的刺激の効果. 防衛大学校紀要=人文科学編、昭和52年号、443 463.
 著者大谷宗司氏は当時防衛大学教授(現名誉教授)、栗原広子氏は本学会の会員であった。

 

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